〜2001.12.16 SHOOTO TO THE TOP〜

第5代ウェルター級王座決定戦 五味隆典 vs 佐藤ルミナ <スペシャル観戦記&PHOTO>


 2000年12月17日、宇野薫がウェルター級のベルトを返上して以来、早一年が過ぎようとしている。修斗を揺るがす衝撃の結末に、その王者がことごとく返上を繰り返すという事実から「呪われたベルト」とまで揶揄されたウェルター級のベルト。2001年8月26日においては、五味隆典と三島☆ド根性ノ助の間で争われるはずも、三島の負傷欠場により決定戦そのものが中止となり、その魔性ぶりを存分に発揮している。

 そんな魔性の力に、幾度と無くベルトを巻くことを阻まれてきたシューター「佐藤ルミナ」。本来ならば、5年以上も前に巻いているはずだったウェルター級のベルトを、彼は未だに巻いたことがない。若かりしルミナが、ウェルター級のトップランカー越えを繰り返している時、チャンピオンである中井祐樹は既に右目を負傷していた。中井祐樹VS佐藤ルミナのチャンピオンシップを夢見た坂本プロデューサーが、一度はコミッションに直訴するも、その結果は歴史が証明するように“否”。

その後、ルミナが初めてのチャンピオンシップを経験するのには、3年もの歳月の流れが必要であった。その一番の理由は、チャンピオンシップを争うにふさわしい対戦相手がいないというもの。強さの象徴であるはずのチャンピオンベルトを、その強さ故に巻くことが出来なかった佐藤ルミナ。

しかし時代は流れ、2度のチャンピオンの座に就くチャンスを逸したルミナには、以前後輩であった五味に指名をされるという、屈辱のチャンピオン決定戦が待っていた。「なめられていると思った。」という本人のコメントとは裏腹に、下馬評では、五味の圧倒的有利。ルミナに対してファンの声は、「勝つ」だろう、という予想よりも「勝ってくれ」という願望へと変わっていた。


 両者がリングへ上ると、ルミナの体調の良さを伺わせる圧倒的な肉体と、五味の恐ろしいくらいの気合いが伝わってくる。いつも通りコーナーポストに前蹴りをするルミナ。花束を持ち寄るレスリング教室の子供に「ありがと」とぼそっと言った五味。若干五味の方が落ち着きの無い様子だが、緊張では無く、試合が始まるのを我慢出来ないと言った感じか。

 1R。ルミナが左のローを放ち、五味がパンチを返す。五味のパンチは強烈で右ストレートの威力が目を見張る。二人が組み合うと五味が自軍コーナーへルミナを持っていく。赤コーナーにルミナを押しつけながら、五味は外掛け。完全にバランスを崩したルミナの左手はなんとロープへ。あの誇り高いルミナが、修斗の象徴ルミナが、明らかにロープを掴みに行った。五味は「ロープを掴んだとは、わからなかった。肘か何かが引っかかっていると思った。」とあっさりしているが、ルミナにとっては「五味の下になったらやられる」という本能の叫びだったに違いない。

 両者の差し合いが続く中、ルミナは左足を挙げ五味のヒザを警戒する。その後、ルミナが五味を力で振り回し、コーナー際でテイクダウン成功。初めてのグランドの攻防は、ルミナが上、五味が下という図式。ルミナは後頭部へ数発パンチを放つと、中腰の体勢でパンチを連打しようとする。ハイアンVS石澤戦の様に、立ち際にコーナーへ押しつけてのパンチ連打は、五味が寝たままタックルに行くことで回避。五味のセコンドの「立て!立て!」の指示通りに両者スタンドへ。すぐさま、五味の左ヒザがルミナのボディーへ。コーナー押し込む五味。コーナーを背に細かくパンチを返すルミナ。(2:30経過)

 
 ルミナが外掛けを仕掛けた処で、五味は上半身の力だけでルミナからテイクダウンを奪う。すぐに、ルミナが五味の左足を掬いに行き十字狙い。右腕なら腕ひしぎ逆十字になるも、左腕なので腕ひしぎ肘固めのような初めてみる形になる。すぐに、体勢不十分でルミナは、足のロックを解除。足関節へと移行する。かかとをキャッチすると、すぐさまルミナは回転しながらヒールでねじり挙げる。

 しかし、回転を許す前に五味がかすかな隙間に、左手を滑り込ませていた為に、ルミナ渾身のヒールホールドを防ぐ。勝敗の分かれ目となるこの攻防を凌いだ五味は、下になったルミナに強烈なパンチをヒットさせる。2発目の左フックがルミナの顎を捕らえる音は尋常な衝撃音ではなかった。パンチを受けてもルミナは間髪いれず、下からの十字。しかし、五味は腕を引っこ抜く。五味は、ヒザ立ちで右ストレートを狙って行くも、1R終了。ラウンドは完全にルミナが攻めきったものの、五味の一発一発のパンチも凄い。

 
 1R終了後に、ルミナがあまりにも大きなダメージを抱えていることに驚いた。起きあがって、コーナーへ歩くこともやっと、という感じ。おそらく、ヒールを凌がれて受けたパンチ2発が効いてしまったのだろう。ラウンド全体としては、完全にルミナが攻めきったものの、五味のパンチの重さが桁外れ。有利に進めたルミナだが、インターバル中は、口を開け大きな呼吸が続いている。


 2R。ルミナの左ローに合わせカウンターのワンツーを打ち抜く五味。ツーの右ストレートで一瞬グラつくルミナ。すぐに体勢を立て直すも五味のパンチ連打が襲ってくる。五味がアッパーを狙った処で、ルミナは滑り込みヒザ十字を狙う。五味は冷静に対処し、上になりながら右を振り回して行く。ルミナがしっかりガードを取るまでお構いなしに7発くらいは顔面にヒットさせたか。ルミナは下から足を効かせると、五味のセコンドは「立て、立て!殴んないでいいから!」とスタンドを指示。ここまでは、まだまだ互角で五味のセコンドもルミナの極めを警戒する指示が多い。

 猪木アリから、ルミナが足を取りに行くと、五味が強烈な右ストレート。両者ニヤッと笑う。しばらく、五味のロー、ルミナが下を誘う展開が続く。五味がヒザ立ちで静かにルミナのガードに入って行くと、すぐさま強烈な左パンチ。衝撃音が凄すぎる。五味は一旦立ち上がるも、再度飛び込んで来る処に、ルミナは十字の仕掛け。掛からないと見るや、しっかりとクロスガードを取る(3:00経過)。コツコツとパンチを後頭部に打っていく五味。五味の首を抱える様にガードをとるルミナの顔面が真っ赤に染まる。

 五味は隙間があくと、強烈なパンチを打ち付ける。関節を潰し、パスを狙わずに、パウンドを繰り返す。五味の本来のスタイルが、このチャンピオンシップに向けて、更に激しく、力強くなっている。ルミナには、ただただしがみつく道しか許されなかった。何度かバスターで後頭部を打ち付けると、2R終了。



 3R。運命の最終ラウンド。1R攻めきったルミナ。2R盛り返した五味。しかし、ルミナファンには、悲壮感しか残っていなかった。明らかに分が悪い。体力的に消耗し、ダメージもあからさまに見て取れる。もう残された道は「特攻」しかない。そんな3R開始であった。

 開始後、ルミナは愚直なまでに、丁寧にローを打っていった。この試合に向けての作戦だったのだろう。しかし、五味の現実は甘くは無い。再度パンチでカウンターを合わせると、ルミナは怯む。横蹴りから、左ストレートが五味の顔面にヒットするもダメージはゼロ。逆に、五味に余裕を持たせてしまう。右ローから飛び込むルミナを五味はカウンターで抱え投げ、上を取る。ルミナは必死にガードを取り五味の腕を押さえに行くが、五味は「抜いて殴る、抜いて殴る」を繰り返す。(2:00経過)

瀕死のルミナには、もうしがみつくしか出来ない。ルミナは露骨にパンチを嫌がる顔をし、五味はそんなルミナを殴り続けた。五味のパンチを打ち続けるスタミナが凄い。五味のこれでもかと相手を屈服させようとする精神力が凄い。ルミナのしがみつき続ける姿が痛々しい。ルミナは何百発打たれ続けたのか・・・。ゴング後も立ち上がることが困難で、足下も定まらない。試合は判定が下される前に、勝者と敗者の差を映し出した。判定は三者三様で五味隆典を支持し、第5代ウェルター級チャンピオン五味隆典が誕生した。木口道場の関係者等に軽い挨拶をしたルミナは、五味の尻を軽く叩き、まばらな拍手を受けリングを後にした。



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