クラスA初戦となる山下。'99以降のデビュー組では、出世頭に入る山下だが、同じく'99以降のデビュー組である池本に比べると、その印象は地味である。それは、山下の試合運びが実に、堅実無比なものであるだけでなく、そのキャラクラーも「浪速の貴公子・池本」に対して、「北の魔人・山下」という様に、「動かざること山の如し」と言った印象を受けるからであろう。しかし、最近2試合は連続一本(KO)勝ちと勢いに乗っており、試合順も後楽園ホールの上から3番目という、ファンに山下志功ここにありをアピールするには絶好の機会だ。対するセラオンは初来日、修斗デビュー戦となる。しかし、パンフレットを見ると、その戦績には驚かされる。PRIDE15に参戦したシュートボクセヘビー級の秘密兵器、アスエリオ・シウバに勝利しているのだ。そして負けているとはいえ、5月1日後楽園ホールにおいて、郷野と引き分けたムリーロ・ニンジャとの対戦経験もあると言う。未だ見ぬ強豪の出現に山下がどう対抗するのか、外国人天国と言われるライトヘビー級を、覆すことが出来るのか、今後のライトヘビー級を左右する重要な一戦となった。
1R。山下が胴タックルに入りテイクダウンを奪うと、セラオンはポジションを許さず、足を利かすという展開に終始する。セラオンは差し合いから時折顔面へのヒザを披露するが効果的なダメージは与えられない。セラオンがヒール、山下がチョークを狙いに行くシーンもあったがキャッチまでには及ばない。
2R。1Rと同様、山下がテイクダウンを奪い、セラオンがポジションを許さないという展開に。タックルから相手を担ぎ上げテイクダウンしたり、バックを奪うなど山下も要所要所で非凡な動きを見せるも、観客は苛立ちを感じ始める。
3R。山下しつこくテイクダウン。ハーフまで持って行くがそこから先の展開を作れず。肩の打撃やボディー、顔面へとパンチを繰りだすも決定的なダメージを与えられず試合終了。
ファンとしては消化不良な試合内容であったことは、間違いない。しかし、修斗の招聘する外国人選手の力を考えると、後から山下は凄かったとなるのではないか。試合を通して防戦に回っていたセラオンだが、足が良く利き、関節技を仕掛けられた時に、カウンターの関節技で応酬するなどかなりのハイレベルの攻防を披露した。テイクダウンからパス狙いという、堅実な攻めを展開する山下だからこそ、セラオンの長所を潰すことが出来たのではないか。後楽園ホールのファンには、渋いアピールとなったが、逆にその自力をまざまざと見せつけることにもなった。次は、上位ランカー喰いで、一気に日本人優勢と行こうじゃないか。
|