魔物が住む(?!)大阪大会観戦記。



第一試合
× 大原 友則 vs 徳岡 靖之
(シューティング東海) (パレストラKAKOGAWA)
1R 腕ひしぎ十字固め
観戦記
 7年以上のブランクを経て、復帰後3戦3敗という後の無い大原に対し、徳岡はデビュー2戦目。デビュー戦を白星で飾っている徳岡には、名前を売る大きなチャンスとなった。
 1R。かねてから、「修斗」に「シューティング」で勝つ、と公言している大原の強烈な右ローで、府立第一への修斗のリベンジが開始された。徳岡もすかさずタックルを出し、大原を寝技に誘い込む常套手段に打って出た。一度はタックルを切り、アッパーを放っていった大原だが、片足を救われテイクダウンを奪われる。ここから、大原がいかに「修斗」に勝つ術を身につけてきたかを興味深く観ていると、あっさりマウントを許してしまう。徳岡も乗りすぎず、丁寧にパンチを落としていく。パンチを嫌がる大原は時折、手を上に延ばしてディフェンス。腕ひしぎ逆十字を決めるのに舞台は整い、後はフィニッシュへ行くだけ。徳岡は思い切りよく左腕を伸ばすと、大原はたまらずタップ。四大タイトルマッチのメインイベンターとして、ウェルター級タイトルを手にした思い出の府立第一で、大原の「シューティング」は幕を閉じた。再起をするならアマチュアからはい上がり、「修斗」の選手になることが望まれる。




第二試合
× 藤田 善弘 vs 村田 一着
(パレストラHIROSHIMA) (無所属)
1R フロントチョークスリーパー
観戦記
 アメリカ総合格闘技界の軽量級に、その名を轟かす村田一着の日本デビュー戦。フックンシュートのフェザー級チャンピオンでもある彼の獲物に選ばれたのは、クラスBでもきっちり一本勝ちの出来る藤田善弘。藤田は柔術マッチにも頻繁に出場し、寝技での確かな技術を持つ選手だけに、ヘウソン・グレイシー門下生でもある村田の寝技の実力を観るには打ってつけである
 1R。小刻みにリズムを取る村田に対して、藤田は安易にタックル。村田はきっちりとタックルをがぶると、フロントチョークへ。村田は藤田の胴へ両足をフックし、力強く絞め上げる。藤田は脳天をリングへ付けたりと、何とか脱出を心みるが失敗。体の力が抜け、だらんとした所で、自らタップ。村田はクラスBの中でも実力者の藤田に、何もさせないで勝っただけでなく、自らの実力の半分も見せずに勝利してしまった。気は早いが、ランカー勢との対決が望まれる。




第三試合
× 池本 誠知 vs スティーブ・バーガー
(ライルーツ・コナン)  (ホドリーゴ・バキ柔術アカデミー)
3R 腕ひしぎ三角固め
観戦記
 初のクラスA戦となる、「浪速の貴公子」池本の相手は、アメリカ・フックンシュート公式戦において、あの中尾受太郎を相手に引き分けている強豪だ。これに勝てば、一気に上位ランカーとの対戦が開け、二年以内にマッハとの対戦を望む池本にとっては、最大のチャンスがやってきた。
 1R。池本はタックルを交わされ、いきなりバックマウントを許す。スティーブは、すかさずチョークに入り仕留めにかかる。約三分にも及びチョークの攻防が続くが、池本がやっとのことで反転し、ピンチを脱出。インサイドガードの中からパンチを打ち込んでいくとスティーブは三角で対抗する。スティーブの三角を交わすと池本はマウント、バックと体勢を入れ替え、スティーブの後頭部にパンチを打ち付ける。池本がパンチに夢中になっていると、バックに付いている池本の足を取り一回転。ヒザ十字は決まらなかったものの、アキレスを狙うなどスティーブの動きが止まらない。池本も、ディフンスすると同時に顔面パンチを繰り出し、一進一退の攻防が続く。
 2R。スタンドレスリングから、池本の内股が出るも交わされる。スティーブはサイドを獲り、ニーインザベリーを伺う。スティーブが足を滑らせて来た瞬間に、池本はカウンターでのリバーサルを決める。池本が上からパンチを落とすも、スティーブは池本を蹴って突き放す。一旦は離された池本だがすぐにがぶり、フロントチョークからテイクダウン。スティーブもスイープを狙うがロープに阻まれる。下から、スティーブは三角締めを決め池本ピンチ。かなり深く入っているようで、池本はなかなか動けない。そこへ、容赦無いスティーブのパンチが降ってくる。池本は最も危険な三角締めの脱出方法である、持ち上げてからの叩き付けをついに敢行。わずかに足のフックが弱まり脱出に成功する。
 3R。池本の左ハイが足先だけヒットする。スタミナはまだまだ大丈夫と、観客も池本の逆転勝利を祈った。池本がタックルを決め上になるも、スティーブはフロントチョークを試みる。フロントチョークから脱出した池本に対し、スティーブは三角へ移行。見事な連絡技に池本は対応出来ず、腕をねじ曲げられタップ。フィニッシュホールドは腕ひしぎ三角固めであった。
 この試合は、両者が共に動き続け修斗の魅力を見せつけたが、全ての局面でスティーブが池本を一枚上回っていた。特にポジションをとられた後の返しは、いつも池本が十八番にしている動き。池本は、攻めては逆転されるという恐怖を初めて味わったのではないか。また、スティーブの強さもさることながら、彼に引き分けた中尾の強さも捨ててはおけない。今後もミドル級はまだまだ、動きがありそうだ。




第四試合
ラリー・パパドポロス vs 須田 匡昇
(スパルタンジム) (クラブJ)
判定 ドロー
観戦記
 ランキング一位のラリパパと三位の須田。どちらが勝っても、いつまでもタイトルマッチの実現が見えてこない、観ている側からすると、なんとも消化不良の対決となった。いっそのこと、この対決をチャンピオンシップにして欲しかった。
 1R。ラリパパの左フックに対し須田がカウンターの右を合わせ、ダウンを奪う。ラリパパは足元をふらふらさせ、いきなりの須田の圧勝かと思われた立ち上がりであった。しかし、そこは老獪にして、パワフルなラリパパ。すぐさま寝技に引き込むと組み付いて離れない。明らかに、ダメージが残っていることが分かる動きを見せた。しかし、須田もこの展開を変えられず、ラリパパが次第に元気を取り戻す。須田がマウントを獲った直後、上半身の力だけでスイープ。ラリパパはハーフからマウントをとり反撃の狼煙を上げた。
 2R。すっかり、ダメージの抜けたラリパパはハイキックを繰り出す。ハイキックをかわした須田が、組み付き外掛けを見舞いテイクダウン。サイドポジションから頭と肩を制し万全の体勢で押さえ込む。しかし、ラリパパは再度上半身の力でリバーサル。サイドを獲ると十字から三角へ。がっちり決まったかに見えた三角だが、須田も長時間耐える。ドントムーブ後、ラリパパは諦め自ら技を解く。
 3R。須田が再三上を獲るが、ラリパパも負けずにまたもやリバーサル。須田が初めて関節技を出しヒールを狙う。かなり良い体勢だったが、ラリパパは足を捻られると同時に、体も同じ方向に一回転させ脱出に成功。
試合終了のゴングが鳴るとラリパパは勝利を確信したパフォーマンス。一方須田は、敗者のそれであった。しかし判定はドロー。最近判定に納得がいかない試合が続いているラリパパには、またもや残念な結果となった。試合後の両者を見比べるとどちらが勝者かははっきりしているが、修斗はラウンド毎のポイントの集計である。判定は妥当なところか。須田にとっては、1Rの開始直後の右ストレートが彼を救ったと言って良いだろう。しかし、ランキング一位でありながらチャンピオンシップが組まれない、三十七歳であるラリパパのモチベーションの高さには、賞賛を送りたい。彼こそ修斗を離脱してしまうのではないかと心配だ。




第五試合
× マーシオ・クロマド vs 佐藤 ルミナ
(スポート・フィジカル)  (K'zFACTORY)
判定 0-3
観戦記
 8ヶ月ぶりの復帰戦となったルミナの相手は、自分より上位にランクされているウェルター級3位のマーシオ・クロマド。前ウェルター級王者の宇野をフロントチョークで失神に追いこみ現ウェルター級1位の三島と一進一体の好勝負を演じた実力者である。ルミナの復帰戦と騒がれているが、実はクロマドにとっても大事な復帰戦となる。トップランカーとして、両者2連敗は許されない状況下での厳しいマッチメイクとなった。
 1R。開始直後にルミナの右ロー。ハイスピードの打撃にクロマドも対応し、ノゲイラばりに左右の連打で突進しそのまま差し合いへ。コーナ際にて、クロマドのヒザが金的へ入る。一時試合が中断されるが、この間クロマドの戦闘モードは切れておらず、ルミナにとっては最悪の立ちあがりとなる。中断後。ルミナは右ローから高速タックル。しかし、クロマドもタックルを切り、差し合いに持ちこみ再度コーナーへ。ルミナはヒザ蹴りを防ぐため片足立ちになるも、クロマドはテイクダウン出来ず、ルミナのレスリングの強さが目立つ。ルミナは体を入れ替えると、すぐさまヒザを連打し、一気に反り投げを放つ。ルミナは早い展開を望み次々とアクションを見せるが、反り投げからクロマドがクロスガードを取ったためルミナの望んだ展開にはならなかった。ガードからルミナは強引にパンチを打ち落とす。空振りはあるものの、顔面に数発ヒットさせ十分にプレッシャーを与えて行く。1R終了間近に、クロマドはルミナの腕を取りに行くもタイムアップ。
 2R。クロマドの左ストレートでルミナがスリップダウン。すぐに立ちあがるも、ヒヤリとさせられる。ルミナは膝下への高速タックルで安々とテイクダウンを取るが、下になったクロマドもパンチを繰り出し暴れる。ルミナは腰をあげパンチを3発。少々力が入りすぎの感があり、空振りに終る。ルミナはその後マーク・コールマンばりのネックロックから、左右のフックを繰り返す。しかし、クロマドのクロスガードが開くことは無く2Rも終了。
 インターバルを見る限り、ルミナのスタミナは問題無さそう。クロマドは少し疲れたか、大きな呼吸を繰り返し、大量の水を体に浴びる。
 3R。ルミナが右ローから左フック・右アッパーと手を出すもクロマドはしっかり見切っている。サイドキックからバランスを崩して出来た隙に、クロマドがルミナに組み付く。その後、ルミナのヒザが金的に入り、再度試合が中断される。再開後の展開も両者の打撃から立ちレスリング、ルミナの内掛けからクロマドがクロスガードを取り、2Rと同様にネックロックからパンチを繰り出し、試合終了。判定は文句無しで、ルミナの勝利だった。




第六試合
× 桜井"マッハ"速人 vs アンデウソン・シウバ
(GUTSMAN修斗道場)  (シュート・ボクセ)
判定 0-3
観戦記
 シュート・ボクセからの刺客が、今まさに修斗のリングをも席巻しようとしている。UFCウェルター級チャンピオンシップを10月に控えたマッハとのミドル級チャンピオンシップ。急遽組まれた感のあるマッハの試合出場にコンディションが心配されたが、体調不良のニュースは伝わって来なかった。
 1R、マッハが右のローをいつも通り叩きこみ試合は始まった。左フックでシウバの懐に飛び込むと両者によってパンチの応酬が繰り広げられた。しかし、両者のパンチはことごとく空を切り、マッハがもろ差しに捉える。マッハは反り投げで、シウバをキャンバスに叩きつけるがすぐにクロスガードを取られてしまう。ルミナの試合が頭をよぎるが、結果は最悪。胴の長いシウバへ上からパンチを落とすマッハだが、全てが空を切る。せっかくのグランドで優勢な展開を作ることが出来ずにスタンドへ。シウバのワンツーがヒットするが、マッハも負けじと内股でぶん投げる。豪快な投げが決まるも、またもやシウバのクロスガードへ。セコンドからしきりにパス狙いの指示が飛ぶが、手立ては見つからずラウンド終了。若干のマッハ優勢か。
 2R.。開始直後、首投げを狙ったマッハだが、シウバは凌ぎ、そのままバックマウントを取る。マッハは戸井田のように、流れるように反転しガードに戻す。修斗の中でも、ガードの技術はトップランクと言われているマッハだが、再三に渡るスイープを決められず、ここでもシウバの体格に反撃を封じられてしまう。シウバも上から効果的な攻撃が出来ず、スタンドを要求する。しかし、このスタンドへの誘いがマッハにとって裏目に出る。残り1分30秒を残し、シウバの打撃が冴え渡る。マッハを首相撲に捉えると、警戒していた右ヒザが顎にヒットする。これで、動きの落ちたマッハにムエタイの打撃が襲いかかる。右アッパー・ヒザ・左の返し・左右のストレートと次々に顔面を襲うマッハに残された術は、組みつくことしか残されていなかった。差し合いの状態から、マッハは体に力が入らないのか、あっさりとバックを許してしまう。マッハは力無く、バックマウントを献上し胴を完璧にフックされ滅多打ちにあう。鼻血によるレフェリーストップまでに、シウバはセコンドの「ポハァダ!ポハァダ!」という指示に乗り、計18発のパンチを顔面にヒットさせた。再開後は定石通りチョークスリーパーへと移行する。完全にマッハの体が沿った状態になり、絞められ続ける。マッハが落ちるのが先か、ゴングが先か、悲鳴が会場を制したその時2R終了のゴング。
 3R。マッハは奇跡の勝利を信じ、打撃を繰り出すがワンツーも左フックも空を切る。内掛けから、この試合初のハーフマウントになるも、すぐにガードに戻される。桜田会長から「割って行け!」とパス狙いの指示が飛ぶが、ことごとくシウバのディフェンスにあってしまう。その後も「やってみろ!やってみろ!」と指示が飛ぶがマッハの体は反応しない。
最後は「動かないと!」というセコンドの悲痛の叫びとも取れる指示がこだまし、スタンドへ。終了間際、マッハの最後の左フックが空を切り試合終了。試合終了後マッハの腰に友達が戻ってくる事は無かった。修斗を愛する者が初めて目にするマッハの敗戦は、言い分けの無いほどの完敗であった。







試合後記
 コラム第4回をご覧下さい。



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