横浜文化体育館 16:30開始

全試合観戦記&PHOTO。

第一試合
(ヘビー級トーナメント Aブロック一回戦)
高橋 義生 VS 高田 浩也 ×
(パンクラス東京) (RJW CENTRAL)
2R フロントチョークスリーパー
観戦記
 ヘビー級トーナメントオープニングファイトは、最近やる気を出している高橋と高橋と同じく日大レスリング部の高田の日大レスリング部対決。高橋はレスリングをバックボーンに持つものの、打撃(特にパンチ)が大好き。前回の試合では、目にも止まらぬ左ストレートでのKO勝ち。試合の見所は高橋の「豪快な打撃」対、高田の「レスリング仕込みのテイクダウン」といった所か。
 1R。早速高橋が左フックを放つと高田が少しぐらつく。高田タックルするも、高橋の体がリング外に出た為ブレイク。再開後、高田はめげずに再度タックルを敢行、ここで高橋は下から十字を仕掛ける。高橋の珍しい仕掛けが功を奏し、両者スタンドへ。その後、高橋が金的へのヒザで注意を受ける。再開後、高橋は片足タックルから、ヒザ・パンチの嵐。しかし高田も怯まずにフロントチョーク気味に高橋を捕らえ、脳天にヒザを4発打ち込んだ。この攻撃で、終盤は高田が盛り返した印象。
 2R。開始直後、両者が組み合うと高橋がフロントチョークへ。少し浅いかと思われたが、高田の顔が仰向けのまま真っ赤に染まる。耐えに耐えたが、ついに高田はタップ。高橋は、久々の絞め技での勝利を手にした。初のタイトル獲りへ向け、タフな男が帰ってきた。



第二試合
(ヘビー級トーナメント Aブロック一回戦)
× ティム・レイシック VS マルセロ・タイガー
(グラジエーターズトレーニングアカデミー) (チーム・タイガー・アカデミー)
1R KO
観戦記
 ティムは、パンクラスデビュー戦で地味な試合ながらも渋谷を完封。期待度はまだまだ高く、その体躯から繰り出される豪快な動きに注目が集まった。対するマルセロは、DEEP以来の日本での試合。これが、事実上の決勝戦と言われるように、ヘビー級の中でも群を抜いた存在であることに変わりはない。
 1R。ティムは、強烈なパンチの連打で一気にマルセロをコーナーまで追いつめる。ティムが果敢にパンチで攻め込むが、クリーンヒットは生まれない。ここで、マルセロはヒザ蹴りで逆襲。ティムはダメージを明らかにし、更にマルセロのヒザ蹴りに加速がつく。ティムは半身になってしまい、マルセロはパンチの追い打ちをかける。ティムは、効いて倒れたと言うよりは、戦略的に攻撃を回避するように倒れたという感じ。結果、マルセロの1RKO勝ちに。期待された一戦は、なにか不完全燃焼な終わり方であったように思われる。



第三試合
(ヘビー級トーナメント Bブロック一回戦)
渋谷 修身 VS アンソニー・ネツラー ×
(パンクラス横浜) (フリー)
判定 2-0
観戦記
  修斗重量級に別れを告げた一人、アンソニー・ネツラー。修斗で目立った戦績はないネツラーが、パンクラスの主力の一人でありUFC出場を希望する渋谷にどこまで通用するか。
 1R。渋谷はタックルから、テイクダウン狙い。寝技で勝負を決めたい格好だ。渋谷は、終始寝技で圧倒するも、ストレートアームバーを力で返される等、ヘビー級にしては非力な弱点が露にされた。ラウンド終盤には、アンソニーに上を取られパンチの連打を浴びる。
 2R。1R.と同じような展開に。またもストレートアームバーが決められない渋谷にがっくし。



第四試合
(ヘビー級トーナメント Bブロック一回戦)
× ジェイソン・デルーシア VS 藤井 克久
(パンクラス・ハイブリッド・ブドーカン) (V-CROSS)
2R ジェイソン選手の膝の負傷によりTKO
観戦記
  またも、修斗重量級に別れを告げた一人、藤井。対するジェイソンは初期UFCに出場しホイスと対戦、その後パンクラス初登場にしてエース船木を破った、という強烈な過去を持つ男。なぜ、過去と記したのか、それは、ジェイソンの実力が、明かに現在の総合格闘技界に取り残されているからである。
 1R。藤井がタックルから早速マウント。勝負ありかと思われたが、なんとか凌ぐジェイソン。中盤、ジェイソンがテイクダウンからヒール狙うも、藤井が捻られると同時に巨体を回転させ見事脱出。最近の主流となっているディフェンスを披露した。スタンドで再開後藤井は重いローからヒザでペースを握る。藤井の重いローが効き、ジェイソン倒れる、そこへ藤井は容赦ないパンチの連打。ここで、ラウンド終了のゴングがジェイソンを救う。
 しかし、ラウンドインターバルにおいて、ヒザのダメージが大きいという理由で棄権。藤井が現在の総合のレベルを見せつけた。



第五試合
ミドル級戦 (5分2ラウンド)
國奥 麒樹真
VS 上山 龍紀 ×
(パンクラス横浜) (U-FILE CAMP)
判定 3-0
観戦記
  セコンドへ田村を従え、ついにパンクラスのリング上に登場した上山。相手は、近藤とのタイトル戦に敗れて以降、スッキリした勝利が掴めていない國奥だ。本来の階級であるミドル級においてもタイトル獲得に2度も失敗。最高の技術戦が期待された高瀬戦においても、その凡戦ぶりに酷評を受けている。はっきり言ってスランプといって良いだろう。
 1R。國奥の右ストレートが上山の顔面を打ち抜く。上山が國奥の打撃に反応出来なかった所を見ると國奥圧勝かと思われたが、その後の攻防は一進一退。特に、寝技の攻防に持ちこんだ上山の戦略が、功を奏した。
 2R。ラウンド開始直後、またも國奥のストレートが上山の顔面を打ち抜いた。今度こそは、國奥の打撃でのKO勝ちかと思われたが、またも上山のテイクダウンに屈してしまう。このまま、派手な見せ場なく試合終了。



第六試合
(パンクラス旗揚げルール 10分一本勝負)
鈴木 みのる VS 冨宅 飛駈 ×
(パンクラス横浜) (パンクラス東京)
膝十字固め
観戦記
  ダッシュで鈴木を追い詰める冨宅。鈴木は冷静に対処し、差し合いに。鈴木が終始冨宅をコントロールし、1エスケープを奪った後、ヒザ十字でフィニッシュ。



第七試合
(ヘビー級トーナメント Aブロック準決勝)
高橋 義生 VS マルセロ・タイガー ×
(パンクラス横浜) (チーム・タイガー・アカデミー)
1R マルセロ・タイガー選手のサミングによる反則勝ち
観戦記
  マルセロはヒザにサポータをしての登場。1試合目のダメージだろうが、これでは逆にヒザを狙ってくださいと言っているようなもの。
 1R。開始直後、高橋はローでマルセロのヒザを壊しにかかる。しかし、マルセロも危険を感じたのか、パンチの連打で高橋のローは打たせない。しかし、打撃が得意な高橋は、上体を小刻みに振り、決定打を食らわない。高橋もパンチを返すとマルセロの動きが止まる。高橋は、1回戦の絞め技での勝利で気を良くしたのか、フロントチョークを仕掛ける。しかし、マルセロも冷静に対処し、頭を抜くと、上からパンチ攻撃に終始する。そのうち、マルセロがサミングをしているとのジャッジがあり、試合は中断。結果的に、試合は高橋の反則勝ち。マルセロに対し、過激な野次が飛び後味の悪い試合となった。



第八試合
(ヘビー級トーナメント Bブロック準決勝)
× 渋谷 修身 VS 藤井 克久
(パンクラス横浜) (V-CROSS)
延長判定 0-3
(この結果により、次回ヘビー級決勝戦は高橋vs藤井に決定)
観戦記
  両者積極性に欠け、盛り上り所無く延長戦も終了。



第九試合
(ライトヘビー級  タイトルマッチ )
菊田 早苗 VS 美濃輪 育久 ×
(GRABAKA) (パンクラス横浜)
2R 美濃輪選手の頭部からの出血によりTKO
観戦記
 8.26修斗大阪大会や9.24プライドが終わった今、秋の格闘技界の話題は菊田VS美濃輪に終始した。「世界一の寝技師VS絶対にあきらめない男」、「グラバカの総帥VSパンクラス横浜のアンダーワールドキング」など、上げれば切りが無いくらい対戦コピーが浮かんでくる。これは両選手が共に、類い希な強烈な個性を持っているからに他ならない。そう、今まで散々「パンクラスの若手は個性が無い」と言われ続けていた中、パンクラスにとってやっと生まれた大切な個性同士の対戦なのだ。今日のメインイベントは、創設されて間のないライトヘビー級のベルトに価値があるのでは無い。この試合がこんなにも注目を集めているのは、勝利を手にした者が今後のパンクラスの未来を切り開いて行くということを、マスコミやファンは知っているからである。

 1R。両者共に、ゴング前からかなり入れ込んでいる様子。開始と共に大技が飛び出すかと思われた。しかし、試合は両者の慎重な探り合いから始まった。両者差し合うと、菊田が上を取る。ここから試合終了まで、両者の魅力は一瞬の息付く間も無く存分に発揮される。菊田は、得意の寝技ワールドで常に先手先手を取り、美濃輪を支配し続ける。あまりの早さに、細かい動きの一手一手は追い切れなかったが、大まかにその流れを記す。
 まずは、菊田の寝技の洗礼かと思いきや、美濃輪は倒されながらもアームロックを取りに行っていた。しかし、美濃輪は不十分な体勢であった為、すぐに菊田にバックを奪われてしまう。バックを奪った菊田は無理に殴りに行かず、チョーク狙いだ。美濃輪は、上を向きマウントの体勢になったり、背を向けバックマウントの体勢になったりで、とにかく押さえ込まれてじっくり攻め込まれていくのを嫌った。菊田が動けば、不利な体勢であるはずの美濃輪が更に大きなアクションを起こすという展開だ。そして、菊田がマウントから満を持して腕十字で極めに行く。しかし、美濃輪驚異のディフェンス(一度目)でエスケープ。両者スタンドへ戻るも、その後再度グランドへ。菊田が終始攻めまくり1R終了。しかし、私は思った。菊田の相手が並みの一流選手であれば5、6回はタップを奪っていただろう。それを美濃輪という男は、奇跡の粘りを武器に、何度も訪れる決定的なピンチを逃れてきたのである。1Rの採点は10−8だったとしても、試合は美濃輪ペースと確信した。
 2R。開始早々、美濃輪が初めて上を奪取することに成功。ついに、美濃輪の怒濤の攻めが始まるかと思う間もなく、菊田は秘技オモプラッタでスイープ成功。なんて凄いんだ菊田。そして、スタンドの攻防を経て、再度美濃輪が上を取る。ここで美濃輪はコーナーポストへ菊田を打ち付ける荒技を敢行。しかし、菊田はいつもの冷静なだけの菊田では無かった。美濃輪のペースにはまる前に、菊田が美濃輪を蹴り飛ばす。菊田は、すぐにマウントを奪取するとマウントパンチからスリーパー。今日何度目になるだろう菊田のスリーパーがついに美濃輪の動きを止めた。何とか逃げようと試みる美濃輪が上を向くと、菊田は一八番の肩固めに移行。がっちり極まり、マウントからサイドへ移った菊田は間違いなく勝利を確信しただろう。それなのに、美濃輪は強力な背筋を使い、反転し強引に脱出してしまう。ここで、ついに菊田がキレた。美濃輪に逃げられた瞬間、菊田は美濃輪の顔面へ蹴りを見舞う。パンチで追い打ちをかけ、一気に勝負を決めようとすると、美濃輪は起死回生のヒザ十字。慌てた菊田がヒザのロックを解くと、二人の間にレフェリーが割って入った。美濃輪の顔面から、信じられないくらいの大流血。すぐに試合はドクターストプがかかり、永遠に続くかと思われた二人の闘いは幕を閉じた。これで、菊田は初戴冠。そして、今後パンクラスのトップとして、新たな強豪との闘いの舞台へと足を踏み入れた。

 今日の試合は、菊田が100%攻めまくった試合であった。終始試合を制した寝技の実力は、日本人トップと言う思いを確信へと変えた。そして、最後に見せた「キレた菊田」は、今まで見たことの無い新しい「怖い菊田」であった。この試合で、これからのパンクラスと言わず、日本の総合格闘技界をリードして行くことの出来る菊田がリング上に誕生したと言える。しかし、これだけ菊田の完璧な試合だったにも関わらず、私の思いは美濃輪へ向いてしまう。最後まで、本当に最後まで諦めないで闘い続けた美濃輪の姿は、決して「勝者菊田」に劣るものではなかった。最後まで、菊田の攻めを凌ぎきり、逆転のチャンスを狙っていた美濃輪の最後まで敗者の姿には映らなかった。

 この壮絶な死闘は、菊田の完全勝利を宣言すると共に、美濃輪も負けていない、ということを最後に付け加えたい。


試合後記
 このヘビー級トーナメントの出場選手を見る限り、このトーナメントそのものに意味があるのか?昔、行われたキング・オブ・パンクラストーナメントを思い出すと悲しくなってくる。最近パンクラスが面白くなってきたかなと思っていたが、美濃輪vs菊田意外に全く面白く無い試合が続いた。パンクラスの選手は、気持ちを前面に出せる選手が少ない。格闘技に一番大切な闘う気持ちが全く見られない選手達に失望した。







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